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5分で読める!伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』のあらすじ(ネタバレ)

屍者の帝国

2012年に発表された伊藤計劃×円城塔屍者の帝国という名作。
執筆中に著者である伊藤計劃が亡くなったことで未発表だった作品を、円城塔が引き継いで完成させたということで大きな話題になりました。

内容も素晴らしいですが、かなり難解な設定のSF作品です。
下手すると途中から何がなんだかわからないまま終わってしまうところですが、二度目を読んでやっと理解できた気がするので、あらすじをまとめておきます。


余談ですが、伊藤計劃の『虐殺器官』『ハーモニー』含む、彼の長編小説3作品すべてがアニメ映画化も決定しています。2015年秋ロードショー予定。
公式サイト→ 「Project Itoh」

屍者の帝国』 あらすじ

注意:ネタバレ満載です!!先に作品を読んで下さい。
作品を読んでいる前提なので固有名詞の説明は省きます。

プロローグ

19世紀末、イギリス対ロシアが世界中で陣取り合戦を行うグレートゲームの最中、屍者復活技術が普及した世界が舞台。あらゆる労働力や兵力として屍者が使われていた。
医学生ジョン・ワトソン(主人公)は、ヴァン・ヘルシング教授に屍者技術者としての能力を見込まれ、大英帝国の諜報機関であるウォルシンガム機関にスパイとして採用される。

第一部

アフガニスタンに送り込まれたワトソン。「屍者の王国」を築いていると噂のアレクセイ・カラマーゾフバーナビー大尉と共に追う。道中でピンカートンのバトラー、ハダリーに出会う。(ピンカートンはPMC=プライベートミリタリーカンパニーのひとつ)
アレクセイ・カラマーゾフに会い、天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインが生み出した最初の屍者、ザ・ワンの存在を聞く。直後、アレクセイは自身に死を書き込んで死亡。
屍者に関する秘密が書かれていると思われる「ヴィクターの手記」のコピーが日本にあると判明。

第二部

ワトソン、バーナビー大尉は日本へ渡る。
屍者研究をしている大里化学へ乗り込むと、屍者暴走の跡が。ザ・ワンは屍者を操ることができると思われるが方法は不明。そこでヴィクターの手記のコピーであるパンチカードを回収したが、暗号化されており、解読できず。

元米国大統領グラントと、ピンカートンのバトラーとハダリーに再会。グラントはザ・ワンをおびき寄せるため、囮作戦を決行するが失敗。ザ・ワンだけでなく、ハダリーも屍者を操る技術を持っていた。かつてザ・ワンは日本にいた時期があったことが判明。

第三部

ザ・ワンを追ってアメリカに渡ったワトソンたちは、解析機関の情報からザ・ワンがいるプロヴィデンスへ向かう。星の智慧派という結社の教会でザ・ワンを発見。ザ・ワンはチャールズ・ダーウィン呼ばれていた。ザ・ワンとワトソンたちはルナ協会に拘束され、潜水艦で大英帝国本国へ。

潜水艦内でザ・ワンは語り始める。
――屍者化は言葉によって起こす、そのため魂を持つ人間しか屍者化できない?否、ザ・ワンは魂は人間固有のものではなくあらゆる生物が持つものだと考える。一方でヘルシング教授は魂とは人間だけが進化の末に獲得したものだと主張。2人はどちらが正しいか賭けをした。
そしてザ・ワンの屍者研究の末、屍者化できるのは、人間ではなく、とある菌株(Xと呼ぶ)のみだと気づく。人間の脳内にあるその菌株を言葉によって活性化することで、意識を持っているように見えるだけだ。Xには屍者化を受け入れる拡大派と受け入れない保守派がある。屍者化したXは悪性の腫瘍のように生きた人間の中に広まりつつあり、将来的に人類を滅ぼす。

これを止めるためにザ・ワンはXとの直接対話を目論む。ザ・ワンとハダリーはXの言葉を使えるが片言のようなものであり、対話をするには解析機関が必要。
この作戦を遂行するため、ワトソンたちは乗っていた潜水艦をルナ協会から奪い、ザ・ワンを開放。

ロンドンに到着し、解析機関へと改装したロンドン塔へ突入。礼拝堂にあるオルガンを使い、ザ・ワンはXと対話を始めた。そこにヘルシング教授が現れる。ザ・ワンの本当の目的は死んだ花嫁の復活と、全ての死者復活だった。ワトソンとヘルシング教授たちはなんとか阻止したが、ザ・ワンと花嫁の姿は消えた。

ヘルシング教授はザ・ワンの菌株説は妄想だと一蹴。ヘルシング教授はXは言葉そのものだと言う。言葉は人の意思に影響力を持つ。しかし何が真実かワトソンにはわからないまま。

エピローグ

ハダリーはアイリーン・アドラーと名前を変えてワトソンの前に現れた。
ワトソンは自分の脳にXを上書きするようアドラーに依頼。真実を探るため自らの身をもって実験をする……

(完)

ちなみに主人公のジョン・ワトソンは名前の通り『シャーロック・ホームズ』シリーズに登場するホームズの相棒がモデル。アイリーン・アドラーも同シリーズに登場するキャラクターで、ホームズが唯一特別視する女性の名前。その2人が最後に会って終わる、というオシャレで憎い演出です。
その他の登場人物も他の作品のキャラクターや実在の人物をモデルにしているケースが多いのがこの作品の特徴ですね。


屍者の帝国

屍者の帝国