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無表情で書くブログ

週末のみ更新する意識低い系ブログ。iPhoneとか読書とか音楽とか趣味の話を。

純文学を理解したい人へ。村上春樹解説本。

読書・レビュー

内田樹の『もういちど村上春樹にご用心』を読みました。とても面白かったです。自分のような文学初心者からすると、この手の「解説本」はとても役に立ちます。簡単にレビューを。

もういちど村上春樹にご用心 (文春文庫)

「文学」を理解するということ

文学作品を読んだ時の素直な感想(よくわからない、退屈だというネガティブなものも含めて)はとても大事な感覚だと思います。
でも世界的に読まれている名作には、どこか良さがあるということは言うまでもない。理解できないとしても、それは自分に文学作品を解釈するだけの基礎力がないからで、このような本はそれを身に付けるための近道になると思っています。


村上春樹も世界的な文学作家に影響を受けています。
スコット・フィッツジェラルド華麗なるギャツビーなど)、
レイモンド・チャンドラーフィリップ・マーロウシリーズなど)、
フランツ・カフカ(変身など)、
ドストエフスキー罪と罰カラマーゾフの兄弟など)、
トルーマン・カポーティー(ティファニーで朝食をなど)、
J・D・サリンジャーライ麦畑でつかまえてなど) 等々

やはりそれは彼の作風にも現れているそうです。村上春樹の作品は古典文学を消化した上に成り立っているということです。

村上春樹の作品は)ほとんど古典的な「世界文学」の正系に位置づけられる

内田樹『もういちど村上春樹にご用心』p21

羊をめぐる冒険』は直接的にはレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の村上春樹的リメイクです。そしてその『ロング・グッドバイ』はスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』をリメイクしている。

同 p24

つまり、村上春樹作品は読むことは、世界文学を理解することにも繋がってくるのです。
上に名前を挙げたような作家の作品に比べたら、村上春樹作品なんてかなりわかりやすく、とっつきやすいと思います。
(彼自身が影響を受けた作家の翻訳を多数出版しているというのもなんか良いですよね。リスペクトが現れているなと)


詳細すぎる描写の意味

村上春樹の特徴とも言えますが、彼の作品は本当に料理をするシーンが多いし、描写が細かい。(というか長い)
それはストーリー展開の上では別になくても良い描写です。

大衆文学と純文学の違い。それは登場人物の感情を「むなしい」と書くか、「パンは壁土のような味がした」と表現するかの違いだと思います。


大衆文学は娯楽、純文学は芸術。

エンターテイメントかアートか。


娯楽はわかりやすいほうがいいけど、芸術というのは皆まで言わない、それが粋。それを回りくどいとか言ってしまうのは野暮なんです。


この本を読んで、村上作品の中に度々登場する食事シーンやセックスシーンの詳細すぎる描写も、興味深く読めるようになりました。